津田沼IVFクリニック院長のブログ

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子宮内膜が薄いと言われた方への治療

子宮内膜発育不全(子宮内膜が薄い)
 
妊娠の成立のために子宮内膜の十分な発育は不可欠です。子宮内膜が薄い(子宮内膜発育不全)の方は妊娠率が低くなります。子宮内膜発育不全の診断は、超音波検査で子宮内膜厚が8mm未満とされることが多いようです。
子宮内膜発育不全では、子宮動脈の血管抵抗値が高い(血液が流れにくい)ことが多いので、子宮内膜の発育に重要な役割を演じている卵胞ホルモンを投与してもあまり意味がありません。(A
 一方、クロミフェンという排卵誘発剤を内服した場合に子宮内膜が薄くなることがしばしば認められます、これはクロミフェンの子宮内膜への直接的な抗エストロゲン作用によるもので、子宮内膜の血流変化によるものではありません。(B
 
以上のことより、子宮内膜発育不全の治療は、
1.子宮内膜血流不全の場合A
1)ビタミンEユベラNソフトカプセル); 種々の臓器で血流を改善することが示されています(約7割の内膜血流改善率、約5~6割の内膜厚改善率)。
月経3日目頃より排卵前まで、600mg(3カプセル)/日を内服します。
2)L-アルギニン; 血管平滑筋を弛緩させ血流を増加させます(約9割の内膜血流改善率、約5~6割の内膜厚改善率)。
月経3日目頃より排卵前まで、6g/日を内服します。
3)1)と2)を併用することで、それぞれの単独使用よりも、子宮内膜血流と内膜厚が改善します。
4)バイアグラ; 血管平滑筋を弛緩させ血流を増加させます(約9割の内膜血流改善率、約9割の内膜厚改善率)。
月経3日目頃より排卵日まで、膣坐薬25mg/個を1日4回膣内に自己挿入します。現在のところ、当クリニックでは扱っておりません。
 
 これらの血流促進剤は子宮内膜のほか卵胞や黄体にも影響を与え、黄体機能不全に対しても効果を示します
 
2.クロミフェン内服の場合B
1)卵胞ホルモン製剤との併用
2)クロミフェンから他剤への変更(セキソビット、フェマーラ、卵胞刺激ホルモンなどの注射製剤)
となります。
 
 
 本日までに妊娠された方は、843組(体外受精385組、人工授精180組)です。
 卒業証書は629枚発行され、卒業生は1258名となりました。